1877年。英国がインド帝国の成立を宣言し、日本では西郷隆盛の主導のもと西南戦争が引き起こされたその年、北欧ノルウェーの港町モスでは、2007年現在、世界最長の歴史を誇るレインウェア会社、ヘリーハンセンが産声を上げた。7月1日のことである。創業者であるヘリー・ジュエル・ハンセンの前職は船長で、当時から自船の乗組員たちに情け容赦なく襲い掛かる激しい雨、雪、スプレー、そして寒さにあらがう手立てを考えあぐねていたという。試行錯誤を重ねた末、ハンセンはついに、漂白されていないキャンバス地を使って縫い上げた衣服に自家製の亜麻仁油を染み込ませ、さらに特殊な加工を施すことにより、しなやかな防水服を編み出すことに成功した。この発明によってノルウェーの漁師たちは、それまで1シーズンに3セット必要としていた作業着が、3シーズンで1セットあれば事足りるようになったという。屋外活動におけるほとんどすべての領域をカバーするヘリーハンセンの製品は、極地探検家や外洋レーサー、スキーヤー、スノーボーダー、さらには海難救助隊といった世界的な冒険家やリアルアスリートたちの手によって、極限までテストを繰り返されてきた。創立から130年もの歳月を経た現在もなお、ヘリーハンセンは防水テクノロジーの限界に挑み続けている。
